2011年08月10日

じっとり、飛鳥山に散る  王子

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「らくだに似ている」と思った。


 


 


 


細身の、日焼けした脂肪分のない枯れた身体。


 


顔つきは鳥類なのだが、潤んだ目は大きく、砂漠のらくだを思わせる。


 


「おれは部屋では酒を飲まない、を肝としている」とちょつと強い口調で


 


言った。


 


「ずいぶんきれいな飲み方されるんですね?」と言うと


 


すこしはにかんだ。


 


歯のない笑み


 


しかし、細面の顔はくずれがなく。いえば涼しい顔だ。


 


彼は淡々と酒を口にはこぶ。


 


 


 


彼はひとり暮らしで、仕事もやってない。


 


「おれは朝飯のかわりに、2〜3杯飲む」彼は言う。


 


ゴミを出して、その足で店に行くんだ。


 


昼から飲む、では気に食わないらしい。


 


それで夜は夜で、しっかり飲むんですね?


 


「夜はみんなに会えるし、夜の酒はたのしいよ。」


 


 


朝から開店している、この店が休みのときは、


 


巣鴨まで自転車に乗って、ある食堂まで行くらしい。


 


 


「起きがけのの酒はそんなにうまいんですか?」と聞くと、


 


お前さんも朝飯はうまいだろう!、それと同じだよ。


 


「わかります!朝飯を食べたくて起きるようなものです。


 


私も朝飯なしがいちばんさみしいです。」


 


この返事に彼の顔が微笑んだ。


 


 


 


「ちょっと一軒付き合うか?」


 


「カラオケはいやなんですけど」。と私


 


「カラオケはおれもすきじゃねえ!


 


金を出して幼稚園のこどもみたいにツルんで歌うなんて、オカマかナルシ


 


ストだよ!」気色悪い。


 


「歌うなら大きな声をだして海で歌え、山で歌え」


 


 


 


そのあと、彼はおでんはどうだ!と言った。


 


駅の反対側のおでんやに。


 


 


ツマミもイカさしみ、くじら立田揚げなど


 


何でも来い!だったのだが、 じつは歯が一本もない。


 


しかしなんでも食べる。いや、なんでも飲み込む。


 


だがコンニャクは食べにくいらしく、食うか?と私の皿に。


 


たいへんなうわばみじいさんだったのだ。


 


 


その後も飲むスピードはかわらず、日本酒がいつのまにか空に。


 


彼のテンポよさにつられこちらの酒もすすむ、進む。


 


強いですね〜と言うと「2日前、一升飲んだな。」


 


ひえ〜、は、はやくその事を言ってよ。


 


 


 


帰りは記憶にございません。


 


じっとり、73歳にまける。


 


 


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posted by 川上哲也 at 21:59| 東京 ☀| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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