2011年04月24日

三ちゃん食堂   新丸子



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ニューヨークが人種のルツボなら、三ちゃん食堂は飲食のルツボ。

どっこい!一歩も退けをとるものではない。

 

暖簾をくぐり引き戸を開けると、バーンと中央に店の奥まで届く大テーブル。

カーフェリーの大部屋のような雰囲気を持つ大きなテーブルが鎮座する。

大テーブルの両脇に小テーブルが何個ずつか配置してある。

私は大きなテーブルの中程に席を取った。

 

私の目の前には、棟方志功のような分厚いメガネを掛け、

歯のぬけた七十代のやせた老人がすわていた。

 

彼は「朝メシ代わりに二合の酒を飲み、

一日一食を常としております」と言う。

「しかしこの頃、下がねぇ、上はしっかりしてるんだが…」

と腰から下を手で指す。

足が弱ったのか、それともアッチの方か、判断をしかねていると、

棟方氏は少しはにかんだ。

「その笑いはアッチだな、棟方さん!」 

 

そんな棟方氏の後方小テーブルには、食事も終わり、1時間あまり読む気もなしにいろいろな新聞を読んでいるカップル。

この二人、二十分ほど前から男性が財布から金を出したり入れたりしているのだが、

女性がまったく帰る素振りを見せないのだ。

 

席を一つ空けた横には大盛り過ぎるブタ丼、今で言うガッツリ丼

をかっこむ若者三人組。

 

とびこむように大テーブルにすわり、刺身定食を注文、落ち着かない感じの初老の男。

身なりはきっちりジャケットできめているが、速メシ食いで二分ほどでたいらげ、

そそくさと精算する洋品店の主人、と思われるひと。

なにがあったのだろう?

 

カウンターには、ななめ45度で中空を見つめ、

おおぶりなアクションを交え、ひとり言つぶやく航空マニア。

 

客層は家族づれで晩飯や、サラリーマンのグループ、クラブかえりの奥様たちと雑多。

映画のシーンのようなカットが目の前でながれる。

 

 

他の食堂でも、酒を飲む客はいるが、この店には「本格的に酒をのむ、

ここで飲んで酔っちゃうよ」という客たちと、「今日は晩ごはんを食べにきた、

酒なしでガッツリいくよ」という客。

酔っちゃう派に、食堂で明るい時間から申し訳ないという後ろめたさも見えないし、ガッツリ派も、飲み屋で酒飲まなくてゴメンという引け目なし!

きっと店の対応の表れなのだろうと思う。

これほど食べる人と酒を飲む人が同じ空間にいる店もあまりないだろう。

 

 

食堂と飲み屋の合併店。にぎやかだが騒がしくない。

三ちゃん食堂の時間はゆっくりとながれ、私は、「飲んで酔っちゃうよグループ」の仲間入り。

 

 看板_2666.jpg

 

 

 

posted by 川上哲也 at 09:36| 東京 ☁| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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